インフレとデフレの意味と違い、物価上昇や貨幣価値下落が世の中に及ぼす影響とは?

インフレとは「インフレーション」の略で、物価が上がり続けること(モノの値段が上昇し続けること)。

その主な原因は、世の中にお金が余りすぎること。

「大量のお金 → モノがたくさん買える → 好景気」となりそうだが、そんな単純な話ではありません。

たとえば、お金を発行している日本銀行(日銀)が、「なんだか今の世の中は景気が悪そうだな。よし、お金を今の10倍作ってばら撒いちゃえ」と大量のお札を印刷して、このお金が世の中に出回るとします。

すると、会社員の給料が増え、たくさん買い物する人が増える。

すると、お店に人が殺到し、10倍に増えたお金でどんどん商品を買っていく。

ところが、そのうち、お店側は「こんなに皆が買うんだったら、値上げしても大丈夫だな。お金を10倍持ってるんだから、値段も10倍にしちゃえ!」と考え、10万円だったテレビが10倍の100万円に。

このように、世の中に出回るお金の量が増えてしまうと、モノの値段が上がってしまうのです。この状態をインフレと言います。

「でも、モノの値段が上がっても、お金がたくさんあれば、いつもと同じように買い物ができるじゃん!」と考えられそうですが、そんな単純な話ではありません。

たとえば、銀行にたくさんのお金を預金していた人は非常に困ることになるのです。

というのも、仮に1000万円を預金していたとしても、物価が10倍になったら、お金の価値としては10分の1の100万円の価値しかないことになってしまうからです。

つまり、インフレには「物価上昇」という側面だけでなく、「貨幣価値の下落」という両面があるのです。

日本での代表的なインフレとしては、70年代のオイルショックや80年代のバブル景気があります。

2008年、ジンバブエ共和国では、物価の上昇がとまらなくなってしまい、お金が紙くず同然の価値になってしまいました。その結果、「0」が14個も並ぶ100兆ジンバブエドル札なんていうお札まで誕生したのです。

2008年3月の時点でジンバブエのインフレ率は355000%。

これは、1年前に100円だったモノが、35万5000円にまで上がってしまったということ。

ハイパーインフレの悪夢

インフレについてリアルに知りたいなら、上の本がオススメです。投資家ウォーレン・バフェットが金融業界の友人に必読書として薦めた本らしいです。

では、インフレにならないためには、世の中に出回るお金を量を減らせばいいかというと、それはそれで今度はデフレが起きてしまいます。

デフレとは「デフレーション」の略で、物価が下がり続けること(モノの値段が下落し続けること)。

デフレになると、モノが安く買えるから良い事のように感じられるかもしれないが、そんな単純な話ではありません。

たとえば、家電量販店で「不景気で全然売れないや。安売りするか!」と商品の値段を下げるとします。

しかし、商品の値段を安くして完売したとしても、安く販売したので儲けは減ります。

会社の儲けは減ってしまったので、社員の給料は下がることに。

つまり、デフレになると物価とともに給料も下がることになるのです。

「でも、給料が下がっても、その分、モノの値段も下がるんだから、結局困らないんじゃないの?」と考えそうだが、そんな単純な話ではありません。

デフレで商品の値下げが続くと、儲けはさらに減り、給料カットだけでは追いつかなくなり、社員を減らすことになるのです。

商品を作っても作っても利益があまり出ないので、社員を増やせなくなり、仕事にありつけない人が増加してしまうのです。

まさに、今の日本にはデフレの現象が起きている状態。

つまり、生産する力はあるのに、モノを作っても売れないので、工場がどんどん閉鎖している。

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川新書)

デフレについてさらに学びたい人は上の本を読むといいです。

では、インフレとデフレはどっちがいいのか?

経済学的には、モノの値段と給料が少しずつ上がるゆるいインフレ状態(年間2%ぐらい物価が上がる)が一番よいと言われています。

そのため、国はデフレ対策としてダムを作るような大掛かりな工事をしたり、定額給付金でお金を配ったりして、とにかく世の中に流れるお金の量を増やそうとしているのです。

しかし、これをちょっとでもやりすぎてしまうと、悪いインフレになってしまうので、このお金の量の調整はすごく難しいのです。

デフレからインフレに変えていく方法は2つです。

1つ目は、日銀が紙幣を刷って世の中にたくさんのお金を流通させる方法。リーマンショック後の2009年時点では日本は6%くらいしか増やしていないが、アメリカは厳しい状態が続いていたので、お金の量を2倍近くにまで増やしていました。

2つ目は、定額給付金や公共事業などを政府が働きかける方法。いわゆる、財政政策です。

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