国債とは?国はなぜ国債を発行し続けるのか?プライマリーディーラーとは?国債の歴史から読み解くその正体

国債(こくさい)・・・誰もが一度は名前を聞いたことがあるけど、その実態はあまり知らないものです。国債に投資しているという人が周囲にいるでしょうか?意外といないものです。

以前、NHKの「真夏の夜の経済学」という番組で国債について詳しく説明していました。

そこで、この番組の内容をザックリとまとめ、番組を見なかった人にシェアしたいと思います。

国債とは?

国債は「国庫債券(こっこさいけん)」を略したもの。

額面が10億円の国債なら、日本国家の10億円の借金証書ということ。

つまり、国債とは日本国家が日本国民にしている借金のこと。

10年の国債を発行した10年後の償還日に、国がお金を返してくれるということ。

2011年時点で、日本では年間160兆円もの国債が発行されていました。

これほどのお金を誰がどこで手にしているのか?つまり、誰が国にお金を貸しているのか?

国債はどこにあるのか?誰が買っているのか?

大手証券会社などの金融機関に行くと、個人でも国債を買うことができます。

しかし、個人向け国債は発行額全体のわずか1%程度。

財務省から新たに発行される国債は入札形式(オークション形式)で販売されます。

1年に100回程度発行され、1回につき数千億円から2兆円を超える国債が入札にかけられます。

これに参加できるのが「プライマリーディーラー」と呼ばれる許可を受けた大手証券会社や銀行。

プライマリーディーラーは購入した国債を機関投資家(個人ではなく企業体で投資を行っている大口の投資家)に売ることができます。

その結果、世の中の国債のおよそ95%が日本国内の機関投資家と呼ばれる法人で保有されているのです。

ここでの機関投資家とは銀行、生命保険、損害保険などの金融機関。

つまり、日本国債の95%は銀行、生命保険、損害保険などの金融機関が買って、保有しているということです。

紙の国債から電子化に

国債の取引は完全に電子化されているため、2003年から紙の国債の発行は取りやめになりました。

すべて日本銀行のコンピューター上にデータとして額と所有者が記録されているだけです。

入札(オークション)の事務手続きは財務省から日本銀行に委託されました。

各プライマリーディーラーには日本銀行と直結した専用端末「日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)」が置かれています。

国債の発行予定額は公表されていますが、クーポンに相当する表面利率は金融市場の動向を考慮して、入札当日の午前中に発表。

たとえば、「30年利付国債、表面利率2.2%、発行予定額7000億円」という国債が入札にかけられた場合、証券会社はその利率と市場の動きや顧客の注文の状況を考慮し、応札期限ぎりぎりまでどの程度の値段でどの程度の量の国債を買いたいかを考えます。

そして、最終的な応札の価格と数量を専用端末「日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)」に打ち込んでいくのです。

プライマリーディーラーはおのおの希望の価格を提示。

高い価格を付けたプライマリーディーラーから落札していきます。

なぜ国債の価格は一定ではないのか?

国債の価格は額面の10億円を指すわけではありません。

実際には、国債という債券に対して、オークション形式で投資家がいくらの金額を支払うのか、いくらの価格が付くのか、それが国債の価格になるのです。

オークションを使うことによって、あらかじめ定められた量を競争によって適正価格で売ることができるというメリットがあります。

利回りとは?利回りが低いほど人気の国債

利回りとはある資産を1年間持っている時にどれくらいのリターンがあるのかの割合のこと。

たとえば、利回りが10%なら今日100万円の債券を買ったら、1年後には10%の10万円が追加されて110万円になって返ってきます。

国債を900万円で買って、1年後に1000万円になれば利回りは11%ほど。(1000 ÷ 900 = 1.111…)

しかし、国債を950万円で買って、1年後に1000万円なら利回りは5%ほどと下がってしまう。(1000 ÷ 950 = 1.052…)

つまり、国債を買った価格が高くなればなるほど、利回りは小さくなってくるのです。

国債の価格が上がれば、利回りは下がる。

裏を返すと、利回りが低いほど国債の価格が高い。つまり、人気の国債ということになるのです。

この「価格」と「利回り」の関係が「国債」を見ていく上で重要になります。

国債のルーツ

国債を買うということは、国民が国にお金を貸しているということです。

一方、国から見れば、国債を売ることによって国民に借金をしているわけです。

しかし、なんのために国は借金をするのか?

国債のルーツ、国債に関する最も古い記録はギリシャにあります。

紀元前5世紀、ペロポネソス戦争。

互いに対立する都市国家のスパルタやアテナイの指導者は戦争の軍資金調達のため、ギリシャ各地の神殿からお金を借り入れました。(=借金がある状態)

戦争に勝てば、他国の財産を戦利品として徴集し、借金を返すことができました。(=借金返済)

この頃は国民に負担をかけることはなかったのです。

8世紀の中頃になると、ベネチア、フィレンツェなどのイタリア都市国家の元首たちは、軍資金を裕福な商人たちから借りていました。

ところが、この借金が膨らみ、戦争で勝って手に入れた戦利品ではまかないきれず、国民から税金を徴収して返済に充てるようになります。

12世紀、イタリアの都市国家はお金を借りやすくするため、将来の税収を担保にした「貸付証券」を発行します。

これがのちの国債の起源となるのです。

なぜ国は国債という借金をするのか?国債は税金の前借り

なぜ国家は資金が必要な時、すぐに税金を徴収せず、国債に頼るのでしょうか?

国債と聞くと何か複雑なもののように感じるかもしれませんが、基本的には個人の借金と変わらない「国の借金」です。

たとえば、毎年のように年貢や税金のような形で100ずつ集めていた君主国家が、戦争が起こって急に200必要になったとします。

普段、税金で取れるのは100なので、足りない100を何らかの形で調達しなくてはなりません。

そこで、税金を2倍にして200集めてしまうという方法が思いつきます。

しかし、増税をすると民衆の不満が起こります。

そこで、変わりのアイデアとして「100だけ借金をしてくる」という方法を思いつきました。

その際に、「借金をしました」という証として国債を発行するのです。

結局、国の場合は将来に返済する時に、税金や年貢という形で取り立てることができるので、言い方を変えると、ある意味、「税金の前借りをしている」と言うことができます。

後々、税金や年貢で国民から受け取るはずだった資金を国債という形で先に国民から借りている状態と言えます。

国債を発行して将来返すことを約束して、今すぐお金や労働力を使うことができると、今すぐ大きなプロジェクトができるというメリットがあります。

増税の時のように、民衆の不満は起こりません。

現代の日本でも、景気が冷え込んで大きい公共事業のプロジェクトをやるときは建設国債(公共事業のための国債)を発行します。

こういった形で現代でも、税金の前借りをする形で、支出がたくさん必要な時に国債を発行して資金を調達するということが行われてきたのです。

急にたくさんの税金をとって国民のブーイングを浴びるより、借金して税金の徴収を先送りにしてしまえばよかったということです。

しかし、この都合のよい国債がやがて大きく姿を変えることになります。

個人の借金から国の借金へ

1262年、ベネチア共和国で世界初の公庫「il monte(イルモンテ)」が誕生しました。

これまで君主(世襲その他血統を背景とする権威により、国を代表し統帥する最高の地位にある者)が借りていた借金を、国が一括して管理する制度を整えたのです。

「il monte(イルモンテ)」を作ったのはベネチア共和国統領レニエロ・ゼノ。

君主が死ねば返済されることがなかった借金を、国家が永続的に保証。

この公庫「il monte(イルモンテ)」では税金を担保に年5%の利子を払うことにしました。

信用を増した国の債券は市場での転売が可能となり、いつでも換金できるようになっていきます。

国債はより買いやすい金融商品となり、国外の買い手も増えてきます。

国債は世代をまたぐ

国債は個人の借金と同じようなものだが、いくつか違いもあります。

個人の場合はいつか死にます。

たとえば、100万円を借りて、100年後に返しますといっても、誰も貸してくれません。

一方、国は死にません。ここが1番大きな違いです。

国の場合は、将来返しますという約束をいつまでも続けることができる、つまり、世代をまたぐことができるのです。

たとえば、最初の世代で税金を取る変わりに国債を発行するとします。

今日あなた方から100借りますが、次の世代で100を返しますという場合、新しく税金をとって100を返すか、あるいは、またさらに新しい100の国債を発行してまかなうということも可能です。

つまり、国債を発行して過去の借金を返すことが可能になるということです。過去の借金を新しく借りた借金で返済するという形です。

ただし、実際には1つ上の世代から借りた100の借金を返すときに、返す金額は100よりもはるかに大きい金額になります。

なぜなら、利回りが発生するから。

将来100もらえるものに対して、今100払ってくれる人はいません。

どんどん借り換えを続けていくと、利回りが発生するので、額面で見た借金は雪だるま的に増えていくのです。

こうした借り換えによる先延ばしによって、国債は山のように発行され続けます。

社会の変化による、国民一人当たりの国債の負担の変化

各国の国債は世界中で流通し、資金調達もより容易になっていき、発行される国債も増え続ける一方です。

危機が起こる直前のギリシャでは国債の発行残高が2700億ユーロ(2009年末)、日本円で30兆円以上です。

アメリカでは14兆ドル(2011年3月)、日本円で1000兆円以上。

そして、日本では760兆円を超えています。(2011年3月)

しかし、国債返済の先延ばしはいつまでも続けてられません。

その破たんの要因の1つが社会の変化です。

たとえば、人口が徐々に増えている時に何が起こるのか?

最初に出した国債を次の世代(人口2倍)が返さずに借り換えをして、さらに次の世代(人口3倍)に先伸ばす。

この3つ目の世代で税金を徴収して国債を返す場合、徐々に人口が増えているので、3世代目(人口3倍)で返す場合には一人当たりの負担は1/3になるのです。

つまり、人口が増えている場合、先延ばしをしても、結果的には一人当たり少ない負担での返済が可能になります。

しかし、人口が減っている場合なら逆のことが起こります。

つまり、今の日本のような人口減少社会では、国債の借り換えをしていくと、世代が進むにつれて一人当たりの借金の負担が増えていくのです。

借金大国である日本の国債が崩壊せず売れ続ける理由、国家の債務を減らす裏ワザに続く

国債の歴史―金利に凝縮された過去と未来

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