会社が上場する目的と株式上場のメリット・デメリット

なぜ世の中には株式上場する会社としない会社があるのでしょうか?

そもそも、なぜ、会社は株式上場をするのでしょうか?

株式上場にはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

ニュースなどで「株式上場」と聞くと、「会社が大きく成長してすごいこと」のようにぼんやりとした解釈を持っている人が大多数だと思います。

では、株式を上場するとは一体どんな意味があるのでしょうか?

上場するということはその会社の株式を一般に公開するということです。

つまり、その会社の株式を誰でも売買できるような状態にするということです。

企業が株式を上場できる市場は、国内で東京・大阪・名古屋・札幌・福岡の5カ所の証券取引所に合計17市場あります。

上場するには市場ごとの審査基準をクリアしなければなりません。

たとえば、東京証券取引所・市場第1部の場合、株主の数は2200人以上、時価総額は500億円以上見込めるなど厳しい基準が設けられています。

会社が上場する理由・目的

会社を運営していくにはお金が必要です。

そのお金を企業は「資本金」と「借り入れ」によって作り、利益をあげようとします。

資本金は自分で作ったり、家族や知人から集めることが多いです。

しかし、事業が軌道に乗ってくると、さらにお金が必要になります。

本気で事業を大きくしていこうとするなら、銀行融資などの借入金よりも自由度の高いお金、つまり資本金を増やす必要があります。

その際、不特定多数の人からお金を集めるには、上場するのが効率的なのです。

これが、企業が株式上場する理由です。

つまり、会社が上場する一番の目的は資金調達ということです。

上場すれば金融機関から借り入れるより低いコストで資金を直接投資家から調達できるようになります。

株式上場のメリット

不特定多数の投資家からお金を集める行為を公募増資と言います。

公募増資によって資本の厚みが増せば、定期的に金利を支払い、期日までに元本を返さなければならない銀行からの借り入れに頼る必要性が薄れます。

また、上場することによって資本市場とのパイプもできるので、社債(民間企業が事業資金を調達するために発行する債券)も発行しやすくなり、さらに資金調達の手段が広がります。

また、上場すれば会社の知名度や信頼度が高まるというメリットもあります。

その結果、優秀な社員を雇うことができるだけでなく、既存の社員の社会的ステータスもあがり、社員の親などの親族にも喜んでもらえます。

さらに、経営陣が歳をとってから相続税の支払いの際にも、保有株式を売却することでお金を用意できます。

以上が、企業が株式上場をするメリットです。

株式上場のデメリット

株式上場すると株主が短期的な利益を求める場合があるので、長期的な経営戦略が立てられずに、短期志向になることがあります。

上場によって集めた資本金は負債や銀行借り入れと違って返済期限がないお金です。

一方、株主は投資した会社の経営が失敗するかもしれないというリスクを抱えて出資しています。

だからこそ、株主による経営者への注文が強くなるのも当然です。

つまり、長期的な視点で経営戦略を立てづらいというのが株式上場のデメリットになるという一面はあると思います。

つまり、新たな株主から経営が干渉されたり、業績低迷によって株式市場の批判を受けることがあるということです。

多くの人に自社の株式をたくさん買ってもらうためには、多くの株主に支持されるような経営をやらなくてはいけません。

そのため、株主の判断材料になるような業績の詳しい情報開示が求められます。

それはつまり、株式上場すると社会的な責任が重くなるということです。

その社会的責任を果たすために、上場以前に比べて多大なコストが必要になります。

また、何か新規事業を興そうとしたり、既存事業の路線変更をする際に、その都度、株主にお伺いを立てなければいけないので、現在のスピードが要求される時代では経営のスピードにおいてマイナスに働くと指摘されることもあります。

以上が、会社が株式上場するデメリットです。

お金のコラム 最新10記事

2020年5月29日

なぜイギリスはユーロを導入せずにポンドなのか?イギリスがポンドを使い続ける理由

ヨーロッパの中心国の1つイギリスは、EUに入っていた時になぜヨーロッパの統一通貨ユーロを導入しなかったのでしょうか? 誰もが1度は抱いたことがある疑問だと思います。 イギリスだけがEUの共通通貨ユーロではなく、以前から使 …


2020年5月28日

借金大国である日本の国債が崩壊せず売れ続ける理由、国家の債務を減らす裏ワザとは?
借金大国である日本の国債が崩壊せず売れ続ける理由、国家の債務を減らす裏ワザとは?

国債とは?国はなぜ国債を発行し続けるのか?プライマリーディーラーとは?国債の歴史から読み解くその正体の続きです。 日本国家はローン地獄 2011年3月における日本政府の債務、つまり、日本の借金は924兆円。(国債及び借入 …


2020年5月27日

国債とは?国はなぜ国債を発行し続けるのか?プライマリーディーラーとは?国債の歴史から読み解くその正体
国債とは?国はなぜ国債を発行し続けるのか?プライマリーディーラーとは?国債の歴史から読み解くその正体

国債(こくさい)・・・誰もが一度は名前を聞いたことがあるけど、その実態はあまり知らないものです。国債に投資しているという人が周囲にいるでしょうか?意外といないものです。 以前、NHKの「真夏の夜の経済学」という番組で国債 …


2020年5月26日

定年制が生まれたのは19世紀末のドイツで政敵を追い出すため、日本の定年年齢の推移
定年制が生まれたのは19世紀末のドイツで政敵を追い出すため、日本の定年年齢の推移

以前、テレビ番組「カンブリア宮殿」を見ていたら、65歳以上でもたくさんの人が働いている会社が紹介されていました。 最高齢で77歳ですから、すごいです。77歳で正社員ですから。 そして、その会社の社長が「定年制」が生まれた …


2020年5月25日

会社更生法と民事再生法の違い、厳しい審査で手続きも複雑で経営陣が退任しなければならないのは・・・
会社更生法と民事再生法の違い、厳しい審査で手続きも複雑で経営陣が退任しなければならないのは・・・

以前、テレビ番組「池上彰の学べるニュース」で「会社更生法」と「民事再生法」の違いについてすごく分かりやすく説明していました。 そこで、「会社更生法」と「民事再生法」の内容と両者の意味の違いについてまとめてみたいと思います …


2020年5月24日

当座預金・手形・手形の不渡り・倒産・経営破綻、破産の本当の意味を分かりやすく解説
当座預金・手形・手形の不渡り・倒産・経営破綻、破産の本当の意味を分かりやすく解説

以前、テレビ番組「池上彰の学べるニュース」で銀行の「当座預金」「手形」「倒産」「経営破たん」についてすごく分かりやすく説明していました。 この4つの言葉の意味とそれぞれの関係についてまとめてみたいと思います。 当座預金と …


2020年5月23日

クレジットマスターの被害に合った時の対処法、カード番号が流出してしまった時の対処法
クレジットマスターの被害に合った時の対処法、カード番号が流出してしまった時の対処法

数年前から、クレジットカードの番号流出被害は問題となっています。 クレジットカードのカード番号を割り出す手法に「クレジットマスター」という手口があります。 クレジットマスターとは、カード番号に一定の規則性があることを悪用 …


2020年5月22日

インフレとデフレの意味と違い、物価上昇や貨幣価値下落が世の中に及ぼす影響とは?
インフレとデフレの意味と違い、物価上昇や貨幣価値下落が世の中に及ぼす影響とは?

インフレとは「インフレーション」の略で、物価が上がり続けること(モノの値段が上昇し続けること)。 その主な原因は、世の中にお金が余りすぎること。 「大量のお金 → モノがたくさん買える → 好景気」となりそうだが、そんな …


2020年5月21日

リーマンショック後の2009年の大不況なのに最高益を出した会社の利益の秘密とは?
リーマンショック後の2009年の大不況なのに最高益を出した会社の利益の秘密とは?

2020年は新型コロナ感染拡大を阻止するために自粛で経済が止まり、2008年のリーマンショック以来の不景気になると言われています。 しかし、リーマンショック後でも利益を伸ばしていた会社はたくさんありました。 今回は200 …


2020年5月20日

引越のお得なタイミングは1年の中でいつ?家賃や敷金・礼金が安くなる時期がある理由
引越のお得なタイミングは1年の中でいつ?家賃や敷金・礼金が安くなる時期がある理由

良い物件を安く借りるには、1年のうちでいつ引っ越せばいいのでしょうか? それは、4月中旬です。 その理由は以下の通り。 1年の中で引越の物件情報が多いのは1月〜3月。 この時期は4月の新学期に向けて進学や就職などで引っ越 …


このカテゴリのすべの記事を見る »